穏やかな暮らしの中で『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』どこまでも心温まる物語

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ニューヨークの片隅で

ニューヨーク・ブルックリンのアパートメントの最上階に暮らす夫婦が、長年住んで慣れ親しんだその我が家を売りに出すことにした途端、巻き起こる様々な出来事を描いたハートフルな物語です。

ほのぼのとしたチャーミングな雰囲気が漂いながらも、長年連れ添った夫婦が紡ぎ出す深みのあるドラマがそこにはあります。

あらすじ

ニューヨーク・ブルックリンのアパートメントの最上階に新婚以来暮らしている画家のアレックスと妻のルース。眺めも日当たりも良く、最高の物件なのだが、エレベーターがないため、アレックスも年齢的に5階までの道のりがきつくなってきた。そんな夫を気遣い、この部屋を売ることを決断したルース。妻の考えに承諾したものの、本当は家を売りたくないアレックス。結局、部屋は売りに出すこととなり、内覧希望者も殺到するが、内覧日の前日に愛犬ドロシーが急病にかかり、さらに近所でテロ騒動が勃発。2人は予測不可能なとんでもない週末を迎えることとなる。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:アメリカ
  • 公開年:2014年
  • 上映時間:92分
  • 監督:リチャード・ロンクレイン
  • キャスト:モーガン・フリーマン、ダイアン・キートン、シンシア・ニクソン、クレア・バン・ダー・ブーム、コーリー・ジャクソン

予告編

穏やかな暮らしの中で

愛犬の散歩をしながら一人の男性が、ブルックリンの街並みの中をこちらに向かってゆっくりと歩いています。下町というには少し上品で、かといってお洒落な街というわけでもない、独特の街並みの中を人や車が行き交っています。

彼はこの街に長年暮らしている画家のアレックスです。妻ルースと愛犬のドロシーと共にブルックリンに暮らしています。

やがて近所の人々と談笑を交わしつつ、散歩を終えて新聞とコーヒーの買い物をすませると、自分が住むアパートへ戻ってきました。

街並みに程よく避け込んだその建物は、長年そこに建っているものの、まだまだ古びた様子はなく、毎朝散歩を終えたアレックスと愛犬のドロシーを爽やかに迎え入れます。

エントランスはタイル張りでどことなくアール・デコ調の内装が美しく、グリーンで統一された階段の手すりやドアが、味がありながらも爽やかな風合いを醸し出しています。

アレックスは自分の暮らす部屋がある、最上階の5階までゆっくりとしたペースで階段を登っていきます。そうですこのアパートには階段がなく、アレックスの年齢的に5階まで上がることがだんだんきつくなってきました。

愛犬ドロシーさえも階段を登る足取りは決して軽快とは言えません。

今日もなんとか自分の部屋のドアの前にたどり着いたアレックス、その部屋番号が打ち付けられた慣れ親しんだ部屋のドアを眺めていると、新婚当時ルースと共にここに移り住んだ日の光景が、昨日のことのように頭の中を駆け巡ります。

そこは眺めのいい部屋

日当たりの良い明るい室内では、ルースともう1人の女性が、何やら慌ただしく話をしています。

ルースより少し若いその女性は部屋をとにかく片付けるように指示をしています。どうやらこの部屋を売りに出していて、本日その内覧会が行われるようです。その女性リリーはルースの姪で不動産関係の仕事をしていて、この眺めのいい部屋を売る手はずを整えてくれています。

カーテンはすべて開け放っておくように、とにかく印象が大事だと力説します。それはそうでしょう、この部屋の目の前には高い建物が何一つなく、その窓から見える街並みは素晴らしいものがあります。

アレックスとルースもこの部屋からの眺めと、日中は眩しすぎるくらいの日差しにを気に入って、新婚からもう何10年もここで暮らしています。

しかし、アレックスが階段を登るのが年齢的にもきつくなってきているのを知っているルースは、売る決心をして今こうしてその準備をしています。

一通りアドバイスをもらい、多忙なリリーを玄関まで送り出していると、そこに階段を登り終えて若干の息切れの残ったアレックスが戻ってきます。

本心では家を売りたくないアレックスは、リリーに少し嫌味を言いながらも感謝の言葉を述べ、部屋の温もりをかみしめるように自分の家の中へと入っていきます。

寄り添うことの大切さ

こんな風に冒頭からハートフルな温もりのある描写が続き、いつのまにかほっこりとした気分にさせられます。

モーガン・フリーマン演じる夫アレックスと、ダイアン・キートン演じるその妻ルースは、まるで本当の夫婦のようにはまっていて、本当にブルックリンのこのアパートで長年暮らしてきたのではないかと思えるぐらい、リアリティと味のある振る舞いを見せてくれます。

そして2人とも長年演じるということを続けてきた名優同士ですので、その演技力は到底若手にはできない表現力があります。その表情やかすかな動きさえも、無駄がなく作品の必要要素として、場面場面になじんでいきます。

モーガン・フリーマンはアレックスとして、住み慣れた部屋に対する名残惜しさや、妻ルースへの愛をとても自然に表しています。ダイアン・キートンもルースとして、夫を支え続けいつも夫の味方であるという、長年の表明のような佇まいを感じさせます。

それは多くの言葉では語られませんが、細かな表情やかすかな仕草がその様をはっきりと画面に映し出します。

その表情が魅せる演技はもう芸術と言ってもいいくらいです。

そしてカメラもこの長年寄り添った2人にさらに寄り添うように、じんわりと少しもったいぶったように、時にクローズアップしたり画面を切り替えたりしていきます。

すべての役者たちはもちろんのこと、監督も撮影陣やその他のスタッフも、本当にこの映画を世に残すことを切に願っている感じが、とてもとても伝わってきます。

アンティークが持つもの

アレックスは画家として生涯を生きてきました。いちばん眺めのいい部屋をアトリエとして使用しています。

そこの光をふんだんに取り入れてくれる窓からは、イースト・リバーにかかる大きな橋が一望できます。イースト・リバーの向こう側は、あの有名な街マンハッタンです。

たくさんの使い古された画材道具と、肖像画の描かれたキャンバスがぞこら中を埋め尽くしています。人はそれをガラクタ扱いしますが、アレックスにとってはどれも長年多くの時間を共にしてきた、仲間も言えるべき道具達です。

それは時間と思い出、その時々の悲しみや喜びが詰まっている、上質なアンティークです。それらの画材や道具を用いてここでたくさんの絵を描いてきました。

アレックスの描く独特で色彩豊かな肖像画は、この部屋の眺めや光とともに育まれてきました。肖像画はあまり売れなくなってきてることもあり、時代遅れ呼ばわりする人もいますが、その絵の放つ魅力は唯一無二のものです。

ルースもその魅力にとりつかれている一人で、ずっとアレックスに絵を描き続けてもらいたいと思っています。

だからこそアレックスの体を労わりこの部屋を売る決心をしたのでしょう。

思い出の価値

そして最初の内覧会が始まってたくさんの人が、アレックスとルースが暮らす、思い出がたくさん詰まった部屋を訪れてきます。

それぞれの人々が思い思いの価値観で、住み心地や部屋の価値を見極めようと、内装や間取りや取り付けられた家具などの細部に渡って、目を凝らし内覧をしていきます。

口には出さないもののこの部屋だったらこれくらいの値段は出せる、これ以上は出さないなどと頭の中では計算しているであろう表情が、そこら中に見受けられます。

内覧者の中には、備え付けられた家具の味のある雰囲気に、あまり良くない印象を示す人もいますが、思い出の詰まったアンティークは他人から見て無価値でも、アレックスとルースにとってはかけがえのないものです。

思い出に値段をつけることはできません。その思い出は他人からすればタダ同然かもしれませんが、思い出の主からすれば最高級品にも匹敵する価値のある代物です。

みんなそれぞれその価値のある思い出というものを持って生きているのです。

しかし、ここから2人が本格的に家を売ると決めた途端、様々な出来事に見舞われます。

それでもなんとか前に進もうとする2人の姿はいつでもどこかチャーミンングで、見てるこちら側もなんだか自然と心地よい気分になってきます。

最低でありながら最高の週末に、はたして夫婦の出す結論は?

いつまでも変わらぬ想いを

忙しく変化していく世の中で、常に最新がかっこいとされる、流行というものが彩る今の世の中ですが、変わらないものの価値や、いつも同じであることのありがたさに目を向けることの大切さをこの映画を見て感じました。

この古びたアパートメントで繰り広げられる、ハートフルなストーリーは、新しい出来事を受け入れつつも、いつまでも変わらない想いの大切さを教えてくれているかのようです。

本当に大切なことをアレックスとルースそして愛犬ドロシーは教えてくれます。

原作はロングセラー小説

原作はジル・シメントというカナダ出身の作家による、ロングセラー小説です。

少し設定を変更して映像化させているようですが、チャーミングでハートフルなストーリーは共通です。

主演を務める2人が、共演の企画を探していた際にこの小説を知り、その内容に惚れ込んだことをきっかけに映画化に至ったようです。

ロサンゼルス・タイムスからは「ほとんど完璧な小説」と称されています。

 

どこまでも心温まる物語

ハートフルという言葉はこの映画のためにあるのではと思ってしまうくらい、本当に心温まるハートフルな物語です。

画家のアレックスと妻のルースが育んできた暮らしとその部屋から見える眺めのいい景色、それは日々の暮らしの中にある本当に大切な何かに気づかせてくれるような気がします。

なんだか明日は気分よく過ごせそうなそんな気持ちにさせてくれます。

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