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ニューヨークを舞台にドラッグに溺れる若者たちの救いのない日々を、徹底的なリアリズムで描写した作品です。
ヒロインを演じたアリエル・ホームズの実体験をもとに、若者の破滅的で刹那的な行動をどこまでも生々しく描き切っていきます。
目次
あらすじ
マンハッタンのストリートで暮らすドラッグ中毒の少女ハーリーは、同じくジャンキーの青年イリヤのことを深く愛するあまり、イリヤに言われるがままカミソリで手首を切ってしまう。
引用：映画.com
キャスト・スタッフ紹介
- 制作国:アメリカ・フランス合作
- 公開年:2014年
- 上映時間:97分
- 監督:ジョシュア・サフディ、ベニー・サフディ
- キャスト:アリエル・ホームズ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、バディ・デュレス、ロン・ブラウンスタイン
ストリートでの暮らし
ドラッグ中毒の少女ハーリーは、ニューヨークのマンハッタンのストリートで暮らしている、いわゆる路上生活者です。
物乞いをして日銭を稼ぎ、そのお金でヘロインを購入し飲食店のトイレで摂取し、キマった状態でストリートを仲間たちとふらつくという、本当にどうしようもない若者です。
そして同じストリート暮らし仲間の青年イリヤに恋をしていて、イリヤのためならなんでもできると思っています。
そのどうしようもないほど破滅的な思考は、とてつもなく危険な代物ですが、彼女や彼らはそれがとてつもなく破滅的で未来のない事だというところまで、考えが及んでいません。
そして今日も一時的な快楽に身を包み、仲間とまったく中身のない馬鹿話をして過ごしているのです。
行き過ぎた破滅的行動
冒頭でハーリーはイリヤを探しています。そして図書館にたむろするイリヤと仲間を見つけます。
イリヤはハーリーが好きすぎて仕方がないので、ハーリーの言う事ならなんでも聞くといった状態です。
イリヤは酒やドラッグで頭がイカれているので、まともじゃない言動や行動を多々口にします。その日イリヤはハーリーにそんなに俺のことが好きなら手首を切れと、とんでもない事を言い出します。
ハーリーは毎回そのような事を言われているので、カミソリを購入済みで本当に切ってやると口答えします。
そんなイリヤとハーリーを仲間は引き離し、ハーリーをなだめます。あんなブラックメタル野郎のどこが良いんだと問い詰めても、ハーリーは好きの一点張りです。
そんなところにイリヤが現れまたハーリーを挑発します。そしてハーリーはカミソリを取り出して手首を切ってしまいます。
なぜそこまでしてしまうのか
救急車で病院に運び込まれ、すぐさま手当てを受けます。何針も縫うことになる大怪我です。
数日病院で入院した後、またハーリーはストリートへと戻って行きます。そして、仲間からドラッグを買いすぐさまトイレに駆け込み、注射器で動脈へそれを流し込みます。
周りから見れば、それはもはや快楽などではなく、どこまでも自分をぶっ壊す行為をしているようにしか見えません。
しかし当事者はそれが破滅的で刹那的な行動だとは思ってもいません。今その瞬間の喜びや気持ち良さが、彼らにとっては大事なのです。
そして、神様なんかくそくらえと言わんばかりに、時には盗みを平然と行いお金を稼ぎ、その金をまた酒やドラッグに変えるのです。
若さが持つ危うさ
若さの持つ魔法のような力を誰しもが知っています。
それはどこまでも無敵で、何者にだってなれるという全能感を少なからずもたらします。まさにそれが青春であり、大人になる一歩手前の人間にだけ許された、嗜みのようなものかもしれません。
しかし、その青春の持つきらめきは正しく使われることにより、未来を明るく照らし出すものです。
その無敵な気持ちを本当に自分が好きなことや、将来の目標を見つけ出す力として使い、そのためには何をするべきかを定め、それぞれ学びや勉強や特訓に励むことが誰しもできれば、みんなが幸せな明るい未来を手に入れることができるのでしょう。
しかし、人生というものはそう簡単に行くものではありません。環境や人間関係が複雑に絡んだ様々な状況の中で、時には間違った方向に向かってしまうのも、この世の中では珍しいことではありません。
そして、どうしても若さにつきまとう未知数という概念が、時にはどこまでも刹那的で破滅的な世界へと若者を導いてしまうのです。
先の見えない行き止まり
まるでドキュメンタリーのようにどこまでも生々しく、徹底的なリアリズムで若者の破滅的衝動を描いたこの作品は、主人公ハーリーに扮するアリエル・ホームズの実体験をもとに描かれています。
つまりこの物語はアリエル・ホームズが実際に経験をしたリアルを映像化したと言えるでしょう。
手持ちのカメラで手ブレや粗めのカットを多用しながら、その衝動はどこまでも先の見えない、暗黒の行き止まりに向かって疾走します。
それは、とてつもなく絶望的で途中で観るのをやめたくなるほどのリアルさを画面の外側まで滲ませてきます。
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何度でもやり直せるという希望
人生は何度でもやり直せます。そのリスタートやリトライといった概念は誰しも共通のものです。
ハーリーを演じるアリエル・ホームズがホームレス生活から主演女優になったように、まだこの世界のどうしようもなさの裏側には、確かな希望が残っていると信じています。
そしてそれは誰しも手にすることができる希望であると願います。
最後に、アリエル・ホームズのインタビューを見つけましたので、良かったら読んでみてください。
