恋を熱力学の法則で攻略?
恋は物理学の分野の1つである熱力学で説明することが可能だとする、駆け出しの物理学者の恋を描いた物語です。
ストーリーに挟み込まれながら、ドキュメンタリーのように専門家や学者の説明や解説が挟み込まれて行きます。
これまで誰もみたことがない雰囲気満載の、斬新なタッチのストーリーと映像が楽しめる作品です。
スペインの作品で、2018年に公開されたNetflixオリジナルの映画です。
あらすじ
燃えるような恋も男女関係のあれこれも、熱力学の法則で説明できる。物理学者はそう主張するものの、自分の恋愛では理論が破綻。恋愛に絶対法則は存在するのか?
引用:Netflix
キャスト・スタッフ紹介
- 制作国:スペイン
- 公開年:2018年
- 上映時間:100分
- 監督:マテオ・ヒル
- 出演:ビト・サンス、ベルタ・バスケス、チノ・ダリン、ビッキー・ルエンゴ
予告編
すべての物事には理由がある
主人公は大学で助手として働く駆け出しの物理学者マネル。
とあるきっかけで、ファッション誌や広告で活躍し始めている、美しいモデルの女の子エレナと恋に落ちます。
最初は誰もがそうであるように、臆病ながらも少しづつ距離を縮めていくのですが、物理学者であるマネルは、自身の恋愛に熱力学の法則を当てはめ始めます。
確かに身の丈に合ってないと感じる恋は不安になります。
相手の話し方や自分への接し方はもちろん、会えない日々のメールの返信時間と言ったオフラインの部分まで、時には不安になってしまいます。
そこに理由や法則があるからこうなんだという風に、何か納得材料を作れれば気持ちは楽になるかもしれません。
近づいたと思ったら離れてしまう、そんな2人の距離を何かに置き換えて定義すると言った具合にです。
しかし、これは少ながらず誰もがやっているようにも思えます。
それまでの経験やバックグランドで、自分が信じているものの原則原理を知らず知らずのうちに、恋愛に当てはめてしまうといった行動です。
そして何かしらの理由を求めて、恋愛からくる緊張や心の不安を和らげようとするのではないでしょうか。
男女の距離の測り方
そんなマネルの何かと法則に当てはめて解決しようとしたり、そこに理由を見出そうとする恋愛手法は、いまいちエレナに刺さっていないようにも見受けられます。
恋人同士という真柄になっても、過去の法則からそこに何かと理由を欲しがる慎重派のマネルと、過去にとらわれず、未来を見て進んでいこうとする直感派のエレナ、とても対照的な2人です。
これは、男女それぞれの特性を表しているような気もします。
それぞれ個人差はあれど、統計的に男性は過去を気にする人が多い気がします。
過去の恋愛をいつまでも引きずってしまったり、昔やらかした仕事の失敗をいつまでも後悔していたりといった具合にです。
すべての女性が過去を気にしないかといったら、もちろんそうではありませんが、どちらかといえば終わった恋愛や失敗を、いつまでも引きずらない人が多数のような気がします。
マネルがそこそこ距離が縮められたと思うと、エレナは新しい仕事の話を受けて、2人の時間が少なくなったりしてしまいます。
次第に物理学の助手の仕事もままならなくなってくるマネルと、モデルの仕事からさらに飛躍して女優業も軌道に乗り始めるエレナ。
これはまさに、思考が今現在から過去に向いている男性と、今現在から未来に向いている女性の、傾向がはっきりと現れているように感じます。
恋に法則はあるのか
もし熱力学の法則で恋がうまくいくのであれば、恋にも法則があるということになります。
人と人の関わりや、気持ちの揺らぎで成り立っている恋愛において、果たして法則はあるのでしょうか。
あったとしてもその場の空気や、お互いの気分によって刻一刻と形を変えてしまう、非常に厄介な法則や原則になるのではないでしょうか。
それはまるで量子論のように、ふたを開けるまで実在しているか分からない、かと思えば同じ場所に同時に存在している、といった非常にややこしく難解なものです。
だからこそ我々は恋における法則があるにせよ、感情や気分を優先し恋愛を進めようとするではないでしょうか。
そしてそのお互いの気持ちの先にあるものが、熱力学の法則が導き出した答えなのだと思います。