光や音のようにそれは存在する『メッセージ』が伝える言語の力

謎の知的生命体が伝えたいこととは何か、言語学者が読み解こうとするメッセージの先には何があるのか?

緊迫する空気感と、独特ながらも心地よい音と光が効果的に使われ独特の世界観で描かれていく。

人間の持つ根底の感情を描き出したようなドラマと絡み合い、今までのSFの域を超えた深い作品である。

ネタバレしていますので、これから観る方はご注意ください。

映像化不可能と言われた原作

原作はテッド・チャンの傑作「あなたの人生の物語」。

そのテーマ性から映像化不可能といわれた、SF短編小説のヒット作です。

あらすじ

ある日、突如として地球上に降り立った巨大な球体型宇宙船。言語学者のルイーズは、謎の知的生命体との意思疎通をはかる役目を担うこととなり、“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていくのだが……。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:アメリカ
  • 公開年:2016年
  • 上映時間:116分
  • 監督:ドゥニ・ビルヌーブ
  • キャスト:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ、マーク・オブライエン

監督は「プリズナーズ」「灼熱の魂」などを手がけ、2017年公開の「ブレードランナー 2049」の監督にも抜擢されたカナダの鬼才ドゥニ・ビルヌーブ。

主人公ルイーズ役は「アメリカン・ハッスル」「魔法にかけられて」のエイミー・アダムス。その他、「アベンジャーズ」「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナー、「ラストキング・オブ・スコットランド」でオスカー受賞のフォレスト・ウィテカーが共演している。

意思を伝えるためのツール

言語や言葉は意思を伝えるためのツールである。

こうしたいやこう思うなど自分の考えや行動を他者に伝えるために必要不可欠なものである。そしてそこには一定の秩序やルールが存在し、音と間やタイミングが絶妙に絡まって言葉が成立している。

そこには当然、その土地土地の文化や考え方や背景などが反映され、それぞれの言語が成立している。

そこに共通するルール

当然ながらそれぞれの言語は全く違うものと受け取ってしまいがちだ、しかしながら地球上に暮らす人間が話す言葉には、共通のルールや規則が存在している。

それは人間という共通する生き物が作り出す言葉であるからには、人が作る言葉としての枠組みがそこに存在し、身体が表現可能な音やタイミングなどの制約がそこにはもたらされるからである。

ではそれが人間以外の生き物の言葉であったらどうだろうか?

人間の言葉や言語を読み解く際に用いられる手法は、同じように人間以外の生き物や生命体にも有効なのか。

彼らの意図とは何か?

地球に降り立った謎の知的生命体、言語学者のルイーズは彼らがなぜ地球に来て、人類に何を伝えようとしているのかを探るために、彼らのと意思疎通を図る役割を任される。

独特の形状をした飛行物体が地球上の12ヶ所に現れる、どこから来て何を伝えようとしているのか、軍からの依頼で言語解読を任された主人公の言語学者ルイーズは、18時間おきに112分間だけ入口が開く”殻”と呼ばれる飛行体の内部へと向かう。

“殻”の内部に地球とは異なる重力が存在し、その摩訶不思議な空間に戸惑いながらもルイーズは、共に同行する物理学者のイアンや米軍のウェバー大佐らとともに、その生命体にコンタクトを図る。

そのコミュニケーション方法

透明の壁越しに現れたその生命体は、黒い煙状のものを噴射し、一瞬にして意味を形作るサークル形の”表意文字”を発生させ、こちらとのコミュニケーションを図ろうとしてくる。

その独特の意思疎通の方法にルイーズは戸惑いながらも、それまで培ってきた言語学の知識やテクニックを扱い、根気強く彼らとディスカションしながら、その言語を読み解いていく。

独特の姿や形から彼らは「ペプタポッド」と名付けられる。

そして本当に伝えたいメッセージ

そしてコンタクトを取り始めて1ヶ月足らず、ようやくその言語の解読に成功する。そして彼らの目的を問うと「武器を与える。時間はない」との返答が発せられる。

その”武器”という衝撃的な響きに戸惑い、各国で攻撃命令が発せられる。混乱に陥っていくルイーズや関係者たち、しかしそれは敵対の意味が込められているのか、果たしてそうではないのではないかとの疑問を抱いたルイーズは単独で彼らとの接触を図る。

そして奇妙な体験を通して、人類に驚きの”メッセージ”を送る。

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素晴らしい音響世界

音楽は、アイスランド出身の作曲家で音楽家のヨハン・ヨハンソンが担当している。

弦楽器を用いた現代音楽からエレクトロニカまで、幅広い音楽性を持った彼にしか表現できないサウンドトラックを作り上げている。

映画の世界観を体現する未知の音色を、さまざまな生楽器とエレクトロの素材によって表現し、効果音かサウンドトラックか分からなくなるような、微細な音色の音響世界が広がっていく。

どこか緊迫した空気が漂いながらも、物語同様に何度も聴けるその音の表現は、とても明確化された様々な音像をそこに響かせる。

言語のデザイン

そしてこの映画の肝となるのは謎の生命体の”彼ら”が発生させる、サークル形の”表意文字”である。

「美的におもしろい言葉をつくりたかったんです」と語るのは、プロダクションデザイナーのパトリス・ヴェルメット。「でもそれは、地球の文明や人類のもつテクノロジー、わたしたちが知っているありとあらゆるものからかけ離れたものにしなくてはいけませんでした。
引用:WIRED

プロダクションデザイナーのパトリス・ヴェルメットを中心に、なんども試行錯誤を繰り返し、彼ら地球外生命体がメッセージを伝えるための独特の文字・言語は作られたようだ。

過去、現在、未来を超えて

大いなる時間という営みの中で、人間の強さや儚さや優しさを体現するような感動的なストーリーが軸になり、少しも非現実感を感じさせないドラマがそこには存在している。

観るものの想像を超えてくる、今までにないまったく新しいSF映画である。