『エンド・オブ・ウォッチ』凶悪犯罪多発地域の警察官のリアルがここにある

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警察官のリアル

ロサンゼルスの凶悪犯罪多発地域を舞台にした、警察官の日常のリアルを描いた作品です。

ビデオカメラでパトロール風景や犯罪現場を撮影するのが日課の主人公とその相棒を中心に、リアリティ感満載で描かれていくその光景は凄まじいものがあります。

まさに目の離せない体感型のアクションムービーともいうべき新感覚が味わえます。

あらすじ

サウス・セントラル地区を担当する白人巡査テイラーとその相棒であるメキシコ系巡査ザバラ。パトロール中に思いがけずメキシコ麻薬カルテルの秘密に触れてしまった2人は、組織から命を狙われるようになり……。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:アメリカ
  • 公開年:2012年
  • 上映時間:109分
  • 監督:デビッド・エアー
  • キャスト:ジェイク・ギレンホール、マイケル・ペーニャ、アナ・ケンドリック、ナタリー・マルティネス、ハイメ・フィッツシモンズ

予告編

犯罪多発地域のパトロール

冒頭から軽めのカーチェイス風に警官の乗ったパトカーが、犯人が乗っているであろう車を追いかけていきます。

それは少し粗めの映像で車の揺れに忠実なブレ方をしながら、パトカーのフロントガラスから犯人の乗った車の後方部を映し出していきます。

ロサンゼルスの治安が悪い地域の大通や裏路地を無茶な運転で逃げていく犯人の車、それを逃すまいと追随するパトカー。やがてパトカーを犯人の車に激突させ止めさせたかと思えば、ここで犯人が銃を撃ってきて銃撃戦がはじまります。

いきなり強烈な出だしから始まるこの物語は、 どこまでも警察官目線でリアリティを追求するかのような描き方で、その犯罪を取り締まる警察官を体感するような臨場感とともに物語は進んでいきます。

主人公のブライアン・テイラー巡査を演じるジェイク・ギレンホールは、どこまでもそのキャラクターになりきる憑依型の俳優といった趣がありますが、この作品でもやはりとてもリアルな警察官の姿を表現しています・

坊主の髪型や鍛え抜かれた体など、まさに凶悪な犯罪が多発するエリアの警察官のあるべき姿とも言うべきたたずまいを見せつけてくれます。

相棒のマイク・サバラ巡査とジョークを飛ばし合いながら、パトロールする姿はまさに地元の警察官といった雰囲気が出ています。

そのオンとオフの切り替えがこれまたリアルです。

自撮りで綴る警察官の日常

かなり粗めの手振れの映像が多用されているのですが、それには理由があります。

主人公のブライアンはパトロール中の捜査風景や、犯罪現場に踏み込む時なども手持ちのビデオカメラを離しません。しまいには小型カメラを胸ポケットにつけて現場の映像を残していきます。

自撮りでその時の心境や警察官としての思いを撮影する姿はYoutuberさながらです。

この自身が回しているビデオカメラからの映像が多用されるため、とてつもない当事者目線とリアリティが満載で、犯罪を取り締まる光景が映し出されていきます。

しかし警察官が自撮りなど不謹慎極まりないと、それを咎める上司や同僚もいますが、ブライアンは業務の記録映像だと言い張り、その撮影を止めようとはしません。

相棒のマイクは時々その撮影行為を嫌がったそぶりも見せますが、時にはカメラ目線で語ってみたりとどうやらまんざらでもなさそうです。

この2人は巡査と言うサラリーマンで言うなれば平社員という立場ながら、その正義感とどこまでも前のめりに犯罪を取り締まろうという姿勢には眼を見張るものがあります。

どんどんと危険な現場に積極的に踏み込んでいくのですが、次第にその踏み込む領域がエスカレートしていき、連邦捜査局であるFBIにウザがれるほどの成果を上げていきます。

やがてそういった捜査行為から地元の警察官でありながら、凶悪な麻薬密売組織に目をつけられる羽目になります。

リアルとは何か

リアルな映像というのは現場をそのまま押さえただけではリアルとは言えないでしょう。その現場の空気感や臨場感を再現してこそ本当のリアルな映像と言えるのではないでしょうか。

この映画はまさに本物のリアルを追求すべく工夫が重ねられ作られているような気がします。

それは手持ちカメラの手ぶれ映像や、演技とは思えない自然な会話など、細かいところまで臨場感あふれるリアリティの演出に余念がありません。

そして気がつけば夢中でその光景に見入ってしまっていることに気がつきます。

それはただ単に緊迫感やドキドキを味わうものではなく、警察官の苦労や犯罪と向き合うことの凄まじさといった、彼らにしか見ることができない光景をこちら側にまで映し出してきます。

この映画で描かれるフィクションはもはや現実のそれとなんら変わりがない、本物のリアリティなのかも知れません。