難解さがもたらす心地よさ『嗤う分身』漂う暗闇の肖像画

出典:amazon

文豪ドストエフスキーの名作「分身」を原作に、ディストピア感ある近未来世界に舞台を置き換えて映像化された、不条理テイスト溢れるサスペンススリラー。

全編暗闇感溢れる質感で赤や黄色などのライトに照らされたカットが、不気味ながらもその難解なストーリーと相まって、独特な世界観を映し出しています。いつの間にかその世界に引き込まれてしまうような、異次元の感覚が味わえます。

あらすじ

不器用で気の小さい青年サイモンは、向かいのアパートで暮らすあこがれの同僚ハナを望遠鏡で覗くことだけが楽しみの孤独な生活を送っていた。そんなある日、サイモンの職場に彼と瓜二つのジェームズが入社してくる。しかもジェームズは、サイモンよりはるかに優秀で……。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:イギリス
  • 公開年:2013年
  • 上映時間:93分
  • 監督:リチャード・アイオアディ
  • キャスト:ジェシー・アイゼンバーグ、ミア・ワシコウスカ、ウォーレス・ショーン、ノア・テイラー、ヤスミン・ペイジ

「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグと「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ共演しています。どちらも個性派の役者だけあって、独特のこの映画の世界に見事にマッチした演技を魅せてくれています。

気の小ささが招くこと

主人公サイモンはとっても不器用で気が小さく、会社でもいいように使われ、やることなすこと上手くいきません。サイモンを取り巻く世界は彼にかなり冷たく厳しい様子です。

周りが冷たいからサイモンが萎縮してしまうのか、サイモンが気が小さいから周りが厳しいのか、どっちだかわからなくなるような精神的スパイラルに迷い込んでいるような、「THE気の弱い男性」です。

舞台は少しディストピア感のある退廃的な近未来の世界です。その朽ち果てた街並みや風景の中だとより一層、サイモンの置かれた立場や孤独が浮き彫りになっていくように思えます。

その風景の中では我慢をすれば報われるといった救いさえ感じることができません。

不気味なコントラストの中で

未来と衰退、暗闇と色彩、静寂と騒音、そういった対をなす出来事や物事が入り混じった日常の中で、唯一の救いは同僚ハナと交わす少しの会話です。

殺伐とした世界の中でハナは一輪の花のように美しくそこに存在します。そしてそのハナの身の回りで起こったある事件を機に、物語は一気に展開していきます。

特に冒頭での彼らのいる世界の描き方は、入り組んだ説明など全くないにもかかわらず、とても説得力を持って観る者の心に馴染んでいきます。

その摩訶不思議な世界観はダークなワンダーランドに忍び込んだような感覚をも覚えます。

彼が彼であることさえも

明くる日に会社に行くと、自分とそっくりな新入社員が仕事をしています。しかしその瓜2つな姿を誰も不思議に思いません。

その瓜2つな新入社員ジェームズは自分と全く違って、社交的で仕事も超優秀。周りのジェームズに対しての態度は、サイモンに対するそれとは全く異なり、社内中で賞賛されまくります。

おまけに恋い焦がれているハナさえもジェームズの虜になってしまう始末。これは一体どういうことなのか?

このダークな協奏曲の奏でる先にあるものとは一体なんなのでしょうか?

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作り込まれた世界観の極み

イギリスの映画でありながら、いくつかの日本の昭和歌謡が劇中で多用されたりと、つかみどころのないその独特の雰囲気は観る者をどこまでも異次元へと誘い込みます。

作り込まれた世界観の映画が好きな人には必見の作品なのではないでしょうか。