甘美で悪夢的な色彩『オンリー・ゴッド』神をも恐れぬ映像美

出典:amazon

あの名作「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフン監督とライアン・ゴズリングが再び協力タッグを組んだサスペンスドラマです。

舞台はタイのバンコク、兄を殺され復讐を遂げようとする主人公の前に、神を名乗る謎の男が立ちはだかる様子が、独特の芸術的な映像美と過激なクライムタッチのアクションシーンとともに描き出されます。

バイオレンスで過激なシーンなども多いですが、甘美な色彩と薄暗く白昼夢的質感が、レフン監督ならではの唯一無二の世界観をどこまでも押し広げていきます。

あらすじ

バンコクでボクシングクラブを経営し、裏では麻薬の密売にもかかわるジュリアン。ある日、兄のビリーが惨殺され、アメリカで巨大犯罪組織を仕切る母のクリステルは、ジュリアンに復讐を命じる。しかし、そんなジュリアンの前に、元警官で裏社会を牛耳っているという謎の男チャンが立ちはだかる。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:デンマーク・フランス合作
  • 公開年:2013年
  • 上映時間:90分
  • 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
  • キャスト:ライアン・ゴズリング、クリスティン・スコット・トーマス、ビタヤ・パンスリンガム、ラター・ポーガーム、ゴードン・ブラウン

その甘美で悪夢的な世界観

冒頭から暗闇の演出と赤みがかった照明、ゆっくりとしたカメラワークやそれに追随するかのような役者陣の動き、その独特の世界観に思わず引き込まれてしまいます。

ここまで凝った映像で全編作り上げられた映画というのはなかなか見ることができません。

そしてどこまでも沈黙が続いていくような、どことなく甘くそして悪夢的な空気感は、デビットリンチの作品にも通ずるところがあるかもしれません。

映画=ストーリを追うことではなく、美しく甘美な映像のためにこの物語は存在すると言ってもいいのじゃないでしょうか。「ドライブ」同様に映画の領域を超えた新しい芸術としてのアプローチを提示しているかのようにも思えます。

蝶の羽ばたきと瞬きの裏側

美しい蝶が羽ばたいている間にも、世界のどこかでは暴力や事件が後を絶ちません。それは一瞬の瞬きの間に移り変わる出来事のように、世界の形相を移り変わらせるのかもしれません。

主人公はそんな世界にうんざりしているかのようにも感じられますが、自分が置かれた立場やその役割の重さに身を任せるように、行動という名の衝動に身を投じています。

どこまでも張り詰めた冷たい質感は、美しさの裏側にある悪魔の笑みのような、いたずらな罠がそこかしこに見受けられるような気もします。

母というボス

人はどこかで母のことは裏切ってはならないと思っている生き物です。それが人々をより良い行動へ導いていると言っても過言ではありません。なぜなら人はみんな母から生まれるからです。

まず最初に母の胎内に命が宿り、未熟な存在の間はその中でしっかりと守られ、栄養を与えられ成長します。そして生まれ落ちた後もしばらくは母に守られ独り立ち出来るまでに育っていくのです。

そのような自分の身を守ってくれた存在であるからこそ、簡単には裏切ることはできないのかもしれません。

バンコクでボクシングクラブを経営しながら、裏では麻薬の密売に関わるジュリアンもその一人です。

兄のビリーが殺され、巨大犯罪組織をアメリカで仕切る母のクリステルは、ジュリアンに復讐することを命じます。兄が殺された理由からジュリアンはその行動をためらいます。しかし母はそれを許そうとはしません。

神をも恐れぬ映像美

果たしてこの神をも恐れぬ映像美が行き着く果てはどこなのでしょうか。

沈黙や色彩が我々の知っている形からアップデートされてしまった、そのような手触りをこの映画からは感じることもできます。

それは美しさと悪の掛け合いといった簡単なことではなく、理由なき芸術の行き着く果ての風景なのかもしれません。

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限りなく黒に近い赤

その薄暗い画面の質感と赤みがかかった光の中は、ゆっくりとそして確実にどこかで混じり合い、見たことのないもう1つの世界を作り上げます。

それは既存の概念では対応ができないもう1つの色であり、モノクロームでもカラーでもない、もうひとつの新たな色彩なのかもしれません。