地球の男たちを誘惑する妖艶な黒髪エイリアンが主役の異色のSFスリラーです。
ミッシェル・フェイバーの同名小説を原作に、緊迫感溢れるスタイリッシュな映像が魅力的な作品です。
目次
あらすじ
スコットランドの街で、とあるセクシーな黒髪美女に誘惑された男たちが次々と姿を消していた。彼女の正体は、地球外生命体で、はじめのうちは無表情のまま男たちを捕食していくが、顔に障害を持つ孤独な男との出会いをきっかけに人間的な感情に目覚めていく。
引用:映画.com
キャスト・スタッフ紹介
- 制作国:イギリス
- 公開年:2013年
- 上映時間:108分
- 監督:ジョナサン・グレイザー
- キャスト:ジョナサン・グレイザー、スカーレット・ヨハンソン
静寂と暗闇の甘美さ
冒頭からどことなく静寂が漂う映像世界と、全体を覆い尽くす暗闇の質感が、なぜかとても居心地よさを感じさせます。
地球外生命体が主人公というSFでありながら、長回しを多用したカットなど、深みのあるヒューマンドラマを思わせる映像に引き込まれていきます。
それはある種、主人公の異邦人であることの孤独さを浮き彫りにさせるような、乾いて寒々しい空気をそこに描いていきます。
繊細でどこまでもこだわり抜かれたようなカットや映像からは、ダークネスでありながら不思議な甘美さが漂ってきます。
宇宙人であるがゆえの孤独
ある国の人がもしその国の人が一人もいない場所に行き、その中で生きる時には少なからず孤独を感じるはずです。それは文化や育まれた環境などの違いから感じてしまう、どこか疎外感のようなものだと思います。
地球外生命体がもし地球にやってきた場合、我々が海外旅行に行って感じるような、孤独感や疎外感を感じることになるのではないでしょうか。
そして地球外生命体のその孤独は、人間というカテゴリーさえも通用しない領域のもなので、それはもう我々には想像しがたい孤独の領域なのかもしれません。
捕食という誘惑
妖艶な黒髪の美女を装った地球外生命体は、女性の美を巧みに利用し、次々と男たちを誘惑し捕食していきます。
それは誘惑というトリックを使って獲物を仕留めるという、我々人間には考えもつかない巧みな行いです。
そこには愛やロマンスめいた魅惑の類のものは存在せず、ただただ次々と男たちを誘惑し、捕獲していくのです。
まるで我々が会社や学校に行くようなルーティンワークのように、その行為をただただ無表情のまま繰り返していきます。
不意に顔をみせる人間らしきもの
しかし、顔に障害を持つ孤独な男との出会ったのをきっかけに、人間的な感情に次第に目覚めていきます。
果たしてその美しいその肌の下で彼女は何を思うのでしょうか。
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緊張感と静けさと
どこまでも漂う緊張感と静けさがクセになるような世界観の中で描かれる日常の中のスリラー。
そんな当たり前の中の不気味さを浮き彫りにしながらも、スタイリッシュな映像美に魅せられるそんな作品です。