『ボヴァリー夫人』人間の欲望の成れの果てにある悲しき風景

出典:Amazon

人間の欲望の成れの果て

これまでなんども映画化されている古典文学の名作『ボヴァリー夫人』をミア・ワシコウスカ主演で2014年に公開された作品です。

1人の女性が欲望に溺れていく様子をレトロな質感の美しい映像で描いていきます。不安や不幸と言った人間に潜む暗い要素をどこか見透かしたように映し出されていきます。

それは決して目をそらすことが出来ない、我々が持つ欲望の成れの果ての風景です。

あらすじ

これまでも数度にわたって映画化されたギュスターブ・フローベールの古典的名作「ボヴァリー夫人」を、「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ主演で再映画化。小さな田舎町の医者ボバリーと結婚したエマ。単調で退屈な毎日に嫌気が差した彼女は、次第に不倫に溺れるようになっていく。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:ドイツ・ベルギー・アメリカ合作
  • 公開年:2014年
  • 上映時間:119分
  • 監督:ソフィー・バーセス
  • キャスト:ミア・ワシコウスカ、リス・エバンス、エズラ・ミラー、ローガン・マーシャル=グリーン、ローガン・マーシャル=グリーン、ヘンリー・ロイド=ヒューズ

予告編

欲望の原理

主人公のエマは決して裕福ではない家庭に生まれ、修道院育ちで身の回りのことがきちんと出来る、しっかりとした女性です。

このエマが小さな田舎町の医者ボバリーと結婚したことから、その生活の中で感じる退屈さや単調さに不満を覚え、次第に物欲や消費の奴隷になったり、不倫に溺れたりしていくという物語です。

人間の欲望をありのままに描いた、とてもリアリティのある物語で、人間の欲望のはけ口としての消費や欲求のあり方を見事に体現していると言えるでしょう。

現在の人々の社会や生活にも共通する、人を踊らせ操っているかのような欲望のシニカルな側面や、その立ち位置をどこまでも正直に映し出していきます。

それはまるでボヴァリー夫人という人物を通して、人間の欲望の全貌や原理を解明しているかのようにも思えてきます。

不満を解消し、より良い状態にしようとする欲求は人間の営みに必要な欲望です。しかしその欲求が必要以上に噴出してしまった状態は過剰な欲望と言えるでしょう。

欲望は人間の本能に絡みついた快楽のようなものを刺激しているような気がします。つまり、それが物欲であれ食欲であれ、人が欲望を満たしているときは人はそこに気持ち良さを感じているということになります。

この欲望に紐づく気持ち良さが、時に人を後先を考えない過剰なまでに欲望を満たすという行為に走らせるのではないでしょうか。

物質がもたらすこと

物質が人々に与えてくれることとはなんでしょうか。

人は物を買わずにはいられない生き物で、それは洋服や装飾品といった類から、生活を便利にする道具などさまざまです。

そういった物欲や消費に対する欲求は果たして我々が持って生まれた欲求なのでしょうか。

いわゆる3大欲求と言われているものに属さないこの物欲というものは、ある程度文明が発達した以降の社会において、3大欲求を凌ぐ勢いで当たり前のように、人間の営みに紛れ時のその欲望に対して、奴隷のように人を動かしてしまいます。

どうしても欲しいものを、生活費を削って買ってしまったり、時には借金をして手に入れたりといった具合にです。

そもそも労働もこの消費や物欲を満たすために、従事しているといっても過言ではないほど、お金を使って何かを手に入れるという行為に我々は夢中です。

例えば洋服などであればが美しさやかっこよさに対する視覚情報を満たしてくれ、生活の道具や車であれば、便利さが生活への満足度をあげてくれて、それらが自分の身の回りにあるという何かを手の内に納めたような満足感を与えてくれます。

そしてどんな物を買う時にでも大抵思い浮かべる気持ちとして、人からどう思われるかという見栄に対する欲求があると思います。この見栄を埋めてくれる役割としても物欲は大いに役立ちます。

現代であれば高級な腕時計やきらびやかな装飾品、スマホなどに代表される最新の機器や、ピカピカの高級車など、どれも他人の目線に対してのアプローチであると言える気がします。

そして、そういったものを他人が羨ましがったり、羨望の眼差しを向けられていると感じた時に、人はなんとも言えない充足感を感じてしまうのではないでしょうか。

この映画の主人公エマ・ボヴァリー夫人も医師の妻という、それなりには裕福なポジションにおける、自身の立ち位置をより良く見せるために、アクセサリーやドレスなどを次々と購入していきます。

しまいにはどう考えても必要のないテーブルクロスや蝋燭立て、室内インテリアとしての装飾品など、生活を高級品で埋め尽くすという泥沼にはまっていってしまいます。

それは物欲と消費と見栄という快楽が手を組み、人を奴隷に陥れていく一連の流れのように思えます。

愛という欲望

人は人に必要とされる時、なんとも言えない心地よさや充実感を覚えます。

それは恋人であっても家族であっても、誰かに必要とされという行為が織りなすドラマチックな営みは、これが無くてはならないと思わせる何とも言えない充実した気持ちを起こさせます。

だからこそ人間関係をできるだけ充実させ、恋をしたり結婚したり、家族を作ったりといった行いを当たり前のように行うのではないでしょうか。

つまり人々が繋がるということで、人はコミュニケーションや愛という欲望を満たしていると言えるでしょう。

しかし、この愛という欲望も必要以上に欲しがったり、置かれている立場を顧みずに手を出してしまったら、それは人の欲望の最も醜い部分を照らし出すような行為に勤しむこととなります。

それは愛する人がいる立場でありながら、ほかの人を好きになってしまったり、その人との関係に夢中になってしまったりといった具合の、いわゆる浮気や不倫といった行為です。

頭ではいけない事と思っていても、こういった事に身を投じてしまう人々が後を立たないのも事実です。

ボヴァリー夫人も最初は夫がいる立場をわきまえて、それらの誘惑に立ち入らないようにするのですが、とあるきっかけから次第にそれらの誘惑の虜になっていき、気がつけば罪悪感などまったく持たないで、複数の人物との関係を持つようになってしまいます。

これはまさに承認されるいう欲求と快楽がタッグを組んで、人を貶めにかかってきていると言えるのないでしょうか。

満たされるという価値

何かに満たされるという事はもちろん幸福な事で、それがあるから生活という営みを行っていけるといっても過言ではないでしょう。

しかし、なぜか人は今ある幸福だけでは満足できなくなってしまうという事実があります。目の前にある物だけではいつの間にか満足できなくなってしまうのです。

それは新鮮さの持つときめきや、目新しさの魅力でもありますが、その魅力にやられてしまって、向こう見ずで後先を考えない行動に移らせてしまう魔力も、新しいものや慣れないものには付きまとってくると考えるべきなのではないでしょうか。

映画の後半で物欲と消費の奴隷と化し、借金を膨らませたボヴァリー夫人に対して、夕食時に夫が怒鳴るシーンがあるのですが、室内を彩る装飾品の必要のなさを告げた後、食卓の皿に積まれた生牡蠣を指差し、これもこの家には必要ないと言います。

食欲は人の欲求を満たすいう側面を、一番表している欲望と言えるかもしれません。

それは料理や食材の味が味覚という欲求をまず満たし、その後空腹という身体における現象を満たしていきます。そしてそれは美味しかった記憶として、脳にインプットされます。

このように何かを食するという事は複数の欲望を満たす働きをします。しかしこの食べるという行為も、過剰に行ってしまえば、体重や健康といった部分に悪影響を及ばす結果となります。

それぐらい何かを満たすという行為や、その欲望は人間に対して時に悪魔のようなふるまいを見せるのです。

しかし人の欲望をどこまでも正直に描いたこの物語からは、そこまで教訓めいた欲望に対する心構えのようなもの感じる事は一切ありません。

それはこの『ボヴァリー夫人』という物語がどこまでも現実的でリアリティを持って描かれているからなのだと思います。

現実というものはありのままをそこに提示します。そこには優しさもなければ、こうしたら良いんじゃないかとと言った提案めいたものはありません。

その現実を目の当たりにして、我々は自分の頭で物事の良し悪しを考えて、行動していかなければならないのです。

何度も映画化されるだけのある原作小説

原作はギュスターヴ・フローベールというフランスの小説家の長編小説です。

文学上の写実主義を確立した人物と言われているほど、徹底的なリアリズムを追求するスタイルで、人間の営みや心理的側面をどこまでも現実的な枠組みの中で表現しています。

代表作とされるこの『ボヴァリー夫人』は4年半の執筆を経て、1857年に発表されました。その内容から発表後すぐに風紀紊乱の罪に問われ裁判を起こされた問題作でありながら、大ヒットしたベストセラー小説です。

欲望の美しい描き方

原作が小説で、これまでなんども映画化された作品を映画化するというのも、タネがバレた手品を改めて披露するようで、非常に大きなプレッシャーのかかる仕事だと思います。

しかし、そういった心配はいらないくらい、見入ってしまうどこかレトロな映像と、主演にミア・ワシコウスカを抜擢し、人気急上昇中の若手俳優エズラ・ミラーを抜擢した、力の入ったキャスティングなど、見どころ盛りだくさんで、とても新鮮な作品に仕上がっていると思います。

欲望の成れの果てを描いた悲しき物語でありながら、なぜかそこには一筋の美しさを感じることが出来ます。

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