悲しくないわけじゃない『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』破壊がもたらすこと

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壊すということ

突然の妻の死、残された男はなぜか感情が無感覚になってしまいます。

ものすごく悲しい出来事なのに涙が出ない、そんな状況の中で身の回りのものを破壊することで、再生へと向かおうとする姿を描いた作品です。

あらすじ

ウォール街のエリート銀行員として出世コースに乗り、富も地位も手にしたデイヴィスは、高層タワーの上層階で空虚な数字と向き合う日々を送っていた。そんなある日、突然の事故で美しい妻が他界。しかし、一滴の涙も流すことができず、悲しみにすら無感覚に自分に気付いたデイヴィスは、本当に妻のことを愛していたのかもわからなくなってしまう。義父のある言葉をきっかけに、身の回りのあらゆるものを破壊し、自分の心の在り処を探し始めたデイヴィスは、その過程で妻が残していたメモを見つけるが……。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:アメリカ
  • 公開年:2015年
  • 上映時間:101分
  • 監督:ジャン=マルク・バレ
  • キャスト:ジェイク・ギレンホール、ナオミ・ワッツ、クリス・クーパー、ジュダ・ルイス

予告編

悲しくないわけじゃない

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悲しくないわけではないのに、なぜか悲しい感情がやってこない。ものすごく悲しい出来事なのに、なぜか涙が出ない、そんな状態は果たしてどのような状況でしょうか?

物凄くつらい出来事にあった時など、悲しみの沸点を超えてしまった時、人はきっと感情がその出来事についていくことができなくなり、ある種の無感情のような状態になってしまうこともあるような気がします。

それは悲しみが無効化された状況とも言えるし、感情の機能が停止してしまった状態とも言えるでしょう。

この映画の主人公デイヴィスも、突然の事故で妻が他界したにも関わらず、涙が一滴も出ません。鏡の前で悲しい表情を作ってはみるものの、イマイチ感情がその表情についていかない感じです。

それは、傍から見れば不謹慎だったり愛がないと受け取られかねません。

そんな状況で妻のいなくなった家で数日を過ごすうちに、妻の父でありデイヴィスの上司にあたる、フィルが言っていたある言葉を思い出します。

それは「壊れたものを直す時はまず解体してみろ」との言葉です。

デイヴィスはこの言葉を真に受けて、水漏れの故障をしていた家の冷蔵庫を解体し始めます。

最初は律儀にひとつひとつのパーツを取り外しますが、やがて無理やりパネルを剥がしたり、配線を引きちぎったりと、破壊に近い行為に走っていきます。

そして知らず知らずのうちに、その破壊という行為の虜になっていきます。

解体することで分かること

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何かを壊すという行為は、特に意味のあることでもないし、何かを成果の上がる行為ではないけど、何とも言えない気持ち良さが伴うことも確かです。

例えば、間違えたメモ用紙をくしゃくしゃに丸めたり破いたりする時や、商品の空箱を潰す時など、日常生活の中でも些細な破壊という行為を伴う出来事は多々あります。

しかし、それらの行為は日常的な営みの中に組み込まれていることで、意図的に何かを壊したり破壊したりという行為を行うことは、普段の生活では滅多にあることではありません。

おそらく改めてこの破壊という運動を意識的に行うことにより、それまで気づかなかった何かに気づくような瞬間が訪れるのではないでしょうか。

組み上げられたものを解体するということは、すでにあるものをゼロに戻す行為と受け取ることができます。

何か物事が上手く行かなくなったり、自分ではどうしようもない状態に陥ってしまった時、この破壊という解体作業によって、すべてをまっさらな状態へ戻していくということです。

それは決して頭のおかしいことでも、後ろ向きなことでもありません。

なぜならすべてはゼロから始まるからです。

破壊=再生のドラマ

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デイヴィスはこの破壊行為を繰り返し行うことで、少しづつ再生という自分自身を取り戻すという過程を経ているのではないでしょうか。

それと同時にもうひとつデイヴィスは不思議な感覚を味わうこととなります。

それは今までもそこにあったのに、見えていなかった光景や景色が急に目に写るようになるような感覚、それまでの賑やかさの中で隠れていた物事が、静けさが訪れた途端に急に主張しだすとでも言えばいいのでしょうか。

もしそういった主張や象徴だらけの世界に覆われてしまったら…それはおそらく足すや増やすという営みの成れの果てという気もします。

そうした場合はやはり、そこには引き算が必要になるのではないでしょうか、大切なものを失っていながら、そこにさらに引くという行為を行わなければならないというのも、何とも皮肉なことかもしれません。

しかし、デイヴィスは目に写る景色の確かな美しさも感じ取りながら、何かを取り戻すように壊すという行為に勤しんでいきます。

それは余分なものを取り除き、ひたすらゼロに近い状態にしていくことにより、破壊と再生がイコールで繋がれていく、そんな方程式が浮かび上がってくるかのようです。

それを魔法と呼ぶのなら

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当たり前に身の回りにある物事や情景は、その状況が変わってから出ないと、そのありがたみや重要さが分からなかったりすることもあります。

晴れた日はその日差しや太陽のありがたみに気づくことはあまりありません。

しかし雨でどんより曇り空の日が続けば、太陽が照らしてくれることやその日差しの暖かさの重要さを、おのずと理解せざるをえません。

それはきっと些細で当たり前すぎて気づくことができない、日常の中にある魔法のようなことなのかもしれません。

ちょっと素敵な変貌ぶり

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破壊行為の果てに、解体業者の作業現場を偶然見つけて、飛び入りで家の解体の作業を手伝わせてもらったりします。

そして、そのあまりの気持ち良さに、作業洋品店で作業着や道具などを一式購入するほどです。

それまでは金融マンらしくビシッとスーツで決めて、できる男感のある格好良さを漂わせていました。

しかし破壊の味をしめてからは、カーハートのワークパンツにティンバーランドのブーツを買い込み、毎日のように着用しています。

これがまたワイルドでありながら、ほどよいゆるさもありでカッコいいんですよね。

パンツもブーツもワークウェアとしても、ストリートファションとしても、それぞれ有名なアイテムです。

パンツはカーハートのダブルニーダックペインターパンツといって、黄色みのあるブラウンのカラーで、前面にもう1枚補強の生地が貼ってある2重構造が特徴的なワークパンツです。アメカジ全盛期に一世を風靡し、現在でもワークスタイルのファッションの定番として履き続けられています。

ブーツはティンバーランドのイエローブーツというもので、完全防水性の丈夫な作りと安定感のある履き心地が売りです。90年代にラッパーやB-BOY達がこぞって履いたことで、ストリートファッション界で流行り、いまだに人気が絶えない定番のブーツです。

デイヴィスはこれに白シャツとサスペンンダー、黒のチェスターコートなどを合わせていて、これがかなり素敵なスタイリングなんです。

出典:IMDb

思わずこのファッションを真似をしたくなってしまいます。

悲しみをぶっ壊せ

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とてつもない悲しみは時に人間の感情を無効化してしまいます。それは涙さえ流させない空虚な風景です。

そのぽっかりと空いた空白を埋めるのにふさわしい行いとは何でしょうか?

そんなものはないのかもしれませんが、いらないものは捨ててしまうのと同じように、悲しみやどうしようもない想いといった感情も、時にはぶっ壊す必要があるのかもしれません。

それは無効化された未来への破壊という答えの出し方です。

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