今注目の監督といえば真っ先に上がるのがこの人です。
カナダ出身の映画監督・脚本家ドゥニ・ヴィルヌーヴ、これまで様々な題材の映画をジャンルを横断するように撮ってきた、とても器用な監督です。
この人の手にかかればヒューマンドラマも、サスペンスも、アクションも、SFもジャンルなんて関係ないとばかりに、どれも見応えのある名作として世に送り出します。
どの作品もハズレがなく、最新作は超話題作の『ブレードランナー 2049』です。
ぜひこの機会に過去作品を振り返ってみましょう。時系列ごとに8作品+おまけという感じでまとめてみました。
目次
渦
公開年:2000年
上映時間:86分
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
キャスト:マリ=ジョゼ・クローズ、ジャン=ニコラス・ベロー、ステファニー・モーゲン・スターン、ピエール・ルボー、マルク・ジェリナス
重々しい雰囲気が包み込む中で女性の苦悩と葛藤を描いた初期の作品です。
後の作品に通ずるようなダークなテーマを扱いながらも、そこに物語性やきちんとしたドラマを描くという姿勢はこの時から健在です。
静かなる叫び
公開年:2009年
上映時間:77分
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
キャスト:マキシム・ゴーデット、セバスティアン・ユベルドー、カリーヌ・バナッス、エブリーヌ・ブロシュ、ピエール=イブ・カルディナル
実際に起きた銃乱射事件を題材にしたドラマです。
社会的な事件を扱いつつも、そこにきちんと映画としての見どころや起承転結をつけた構成は、やはり脚本家としての手腕もかなり光っています。
2009年の作品ながら日本では2017年に劇場公開されました。
灼熱の魂
公開年:2010年
上映時間:131分
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
キャスト:ルブナ・アザバル、メリッサ・デゾルモー=プーラン、マキシム・ゴーデット、レミー・ジラール
中東系のカナダ人女性の過去を追ったサスペンスドラマです。
内戦で翻弄された女性を描いた、ヒューマンドラマの側面と、サスペンスの側面をうまく使い分けたような驚きの物語です。
ドゥニ・ビルヌーブ節ともいうべき、驚きさを兼ね備えた濃密な物語というような、唯一無二の技がこの作品くらいから感じられます。
プリズナーズ
公開年:2013年
上映時間:153分
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
キャスト:ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール、ビオラ・デイビス、マリア・ベロ、マリア・ベロ
誘拐された少女を巡り、その父親が超えてはいけないラインを超えてしまうという、サスペンススリラーです。
それまでと比べてサスペンス色の強い作品ですが、突飛つすべきはそのキャスティングと演出のうまさです。父親役の主人公にヒュー・ジャックマン、事件の真相を追う刑事役をジェイク・ギレンホールが演じています。
誘拐事件に巻き込まれた人や、それを取り巻く人々の心情をどこまでもリアルに描いていきます。その恐ろしさや全編に漂う緊張感など、雰囲気の作り込みも物凄いものがあります。
複製された男
公開年:2013年
上映時間:90分
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
キャスト:ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、サラ・ガドン、イザベラ・ロッセリーニ、ジョシュ・ピース
自分とそっくりの人物の存在を知り、自分自身の立ち位置が見えなくなっていく男の姿が描かれたミステリーサスペンスです。
ジェイク・ギレンホールが1人2役を演じています。難解さが癖になるような独特の世界観を持った物語です。
それまでの作品でもミステリーや謎といった要素は重要な立ち位置を占めていましたが、この映画ではさらにそのミステリー部分を押し広げたような展開が強く感じられます。SF的な要素もここに来て顔を出し始めます。
ボーダーライン
公開年:2015年
上映時間:121分
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
キャスト:エミリー・ブラントケイト・メイサー、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ビクター・ガーバー、ジョン・バーンサル
ものすごくリアルにアメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる、麻薬戦争の実態が描かれていくアクション作品です。
ここに来てアクションテイストの映画まで撮れるということをまざまざと見せつけて来ます。
まさにジャンルにとらわれず名作を残し続ける監督、それは物凄い手腕がなせる技だと思います。
メッセージ
公開年:2016年
上映時間:116分
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
キャスト:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ、マーク・オブライエン
女性の言語学者が突如地球に降り立った、異星人とのコンタクトを描いたSFドラマ作品です。
ここに来てまさかのSF作品を世に送り出していきます。原作は米アメリカの作家テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」です。
そしてこれが今まで見たことがないという言葉がぴったりにドラマチックで感動的なSF映画です。驚きや感動や美しさが同居した、それまでのドゥニ・ビルヌーブ監督のがやってきたことの集大成のような作品です
ブレードランナー 2049
公開年:2017年
上映時間:163分
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
キャスト:ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、シルビア・フークス、シルビア・フークス
そして満を持してあの名作『ブレードランナー』の続編、『ブレードランナー 2049』の監督に大抜擢されます。
SFという大きな枠組みの中で、ミステリアスな側面や派手なアクションという要素を取り入れながらも、どこまでもドラマチックに、超大作としてどこまでも抜かりがない本当に素晴らしい作品です。
おまけ
Next Floor
2008年にドゥニ・ヴィルヌーヴ監督・脚本で撮影されたショートフィルム作品です。
晩餐をテーマにした10分の作品ながら、重厚感のあるとても見ごたえのある作品です。下記からご覧いただけます。
字幕はありませんがセリフは一言だけなので、字幕がなくても問題ないと思います。この短いショートフィルを観ただけでも、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のその凄さは伝わるのではないでしょうか。
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