『ヤング・アダルト・ニューヨーク』笑いも涙も詰め込んだビタースウィートなストーリー

出典:Amazon

それは2組のカップルの交流

8年間新作が出ていないドキュメンタリー監督とその妻と、自由奔放に生きる20代のカップルの交流が描かれるロマンティックコメディです。

時代に乗り遅れまいと最新のiPhoneでSNSのチェックに余念がない40代の夫婦と、レトロなカルチャーを愛しレコードやビデオテープといった古き良き物に取り囲まれて暮らす20代の夫婦、そんな2組のカップルの交流がハートフルに描かれていきます。

ニューヨーク・ブルックリンを舞台に「イカとクジラ」「フランシス・ハ」のノア・バームバック監督が、とてもお洒落なタッチの映像でその姿を紡いでいきます。

あらすじ

8年間も新作が完成していないドキュメンタリー映画監督のジョシュと、妻のコーネリア。40代になり、人生にも夫婦にも何かが欠けていると感じるようになったある日、ジェイミーとダービーという20代のカップルと知り合う。時代に乗り遅れたくないとSNSに縛られる日々を送る自分たちに比べ、自由でクリエイティブに生き、レトロなカルチャーを愛する若い2人に刺激を受けたジョシュとコーネリアは、再び活力を取り戻していくが……。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:アメリカ
  • 公開年:2014年
  • 上映時間:97分
  • 監督:ノア・バームバック
  • キャスト:ベン・スティラー、ナオミ・ワッツ、アダム・ドライバー、アマンダ・セイフライド、チャールズ・グローディン

予告編

最新とレトロの違い

我々現代人は”最新こそが良いものと思い込まされている”と思い込まされている気がします。

いきなり紛らわしくて申し訳ないですが、別に最新の機器を持つことやSNSに夢中になることがそんなに悪いことだとは思えません。

スマホにしてもテレビにしても最新の物を使いたければ使えばいいし、使いたくなければ使わなければいいだけの話で”最新”に何の罪もありません。

SNSにしても交流やそれで情報を取得することが有意義だと思う人は大いに活用すればいいし、そこに意味を感じなかったり居心地の悪さを感じる人は、さっさとアカウントを削除して使わなければいいだけの話です。

これだけ様々な文化や技術が溢れかえっている時代に、大切なのは自分に必要なもの選び取ることのような気がします。

人間は自分が便利だと思うものを大いに活用するという特性があるように思います。それが最先端技術であれ、古き良きカルチャーであれ、自分自身にとって便利ならどこまでも活用してしまうものです。

最新技術というのはいわば人間の研究と学習の結晶です。例えばスマホのタッチパネルが生み出されるためには、数々の研究と試行錯誤が行われてきたはずです。そして古いレコードやビデオテープなどもそれが登場した当時は最新の技術だったはずです。

つまり最新であることもレトロであることもそれ自体にはそんなに意味がないのです。”最新”と”古き良きもの”そのどちらかに偏って、双方を批判や非難することが罪であり問題なのではないでしょうか。

人の数だけ便利さやカルチャーはあってしかるべきだし、自分が好んでいるものならそれは振り回されているとは言えない気がします。

最新機器で身を固めても、レトロを愛しアナログな生き方をしても、何だったらiPhoneXを片手にレコードを聴いたって構わないわけです。

ある夫婦の場合

ドキュメンタリー映画監督のジョシュと、その妻のコーネリアは40代になり少しなんだか物足りないと感じる日々を送っていました。

顔なじみの夫婦は子供が出来て楽しそう、自分たちは子供こそいないものの、だからこそ自由に人生を謳歌している、冒頭の2人の姿はそんな風に感じ取れます。

時代の波に置いて行かれまいと最新のスマホでSNSチェックに余念がなく、タブレットで読書をして映画はテレビのリモコンでストリーミングサービスを選択し鑑賞するといった具合です。

ジョシュは映画監督でありながら、もう新作が8年出ていません。編集を手伝ってもらっている仲間からはしばらくもらってないギャラを催促される始末です。そして大学の映像コースの講義を担当して日銭を稼いでいるといった状態です。

そんなある時、講義にある若い夫婦が現れます。ジェイミーとダービーのこのカップルは20代でありながらレトロなカルチャーを愛し、最新機器やSNSに夢中の自分たちとは対照的に、音楽はレコードで聴き映画はビデオテープで鑑賞するといった具合です。

分からないことがあればすぐにスマホでググって済ませようとするジョシュに対して、ジェイミーとダービはすぐ検索せず考えることを薦めます。

若さと最新を結びつけるのは安易ですが、ここで描かれるのはそれとは対局の、若さが持つ時代さえも超越する自由な発想です。

この風景をステレオタイプに受け取ると、流行りに流されないために必死な熟年夫婦と、時代に流されない若い夫婦となるわけですが、そこにはそれぞれの思惑や感性が入り混じっているような気がします。

それはどちらが正でどちらが誤であるといった簡単な問題ではないのではないでしょうか。

しかし、アダムドライバー演じるジェイミーと、アマンダ・セイフライドが演じるダービのこうした生き方はある意味輝きがあり、ジョシュとコーネリアはその時代に流されない自由な生き方に刺激を受けていきます。

それまで忘れてしまった何かを取り戻すように、少しだけ生き生きとした何かが2人の中に芽生えていきます。

ドキュメンタリーは真実を映すのか

ジョシュはドキュメンタリーの映画監督ですが、その作品に対する思いは熱く、ドキュメンタリーは真実を映すものであるべきだと信じています。

一方ジェイミーはドキュメンタリーの記録映画としての側面は認めているものの、そこに自分の思いや演出といったフィクションめいた部分が混じっても構わないと思っているように感じます。

どちらが正しいと一概には言えませんが、ドキュメンタリーと言えども人間が作る作品であるからには、そこにまったくのその人の考えや想いが入らない作品というのはあり得ないのではないでしょうか。

映画や映像化される以上、不純物ゼロのノンフィクションなどありえないような気がします。何らかの考えやフィクション的要素は入れようとしなくても入ってしまうのが当たり前のように思えます。

当然のように真実を映し出すものとしてドキュメンタリーを作品を受け取ってしまうのは、少し怖いことのような気がします。

作り手の視点というものは客観的にみれば、結局いくつかある様々な視点の1つにすぎないのです。

ほろ苦くもあり甘くもある

人生はいつだって楽しいことばかりではありませんが、そのほろ苦さは次なる甘みを感じるための、バニラビーンズのような存在かもしれません。

そのほろ苦さがあるからこそ、アイスクリームはどこまでもスウィートな口当たりを提供してくれるのではないでしょうか。

笑いあり涙ありで奏でられるこの物語は人生の教訓というほど大袈裟ではありませんが、どこか行き詰まりを解消させてくれるような気持ち良さを感じさせてくれます。

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