そこにトリックはあるのか『マジック・イン・ムーンライト』タネも仕掛けもない恋

出典:Amazon

そのトリック見破れますか?

1920年代の南フランスのリゾート地を舞台に描かれる、とてもロマンティックなコメディです。

トリックを見破る目的でやってきた天才マジシャンと、透視能力を持つというアメリカ人の美人占い師が繰り広げるなんだか愉快な作品です。

あらすじ

英国人マジシャンのスタンリーはニヒリストで毒舌家だが、天才的なマジックの腕前で人気を博していた。ある時、幼なじみのハワードから、ある大富豪が入れあげている米国人占い師の真偽を見抜いてほしいと依頼される。魔法や超能力など存在しないと信じるスタンリーは、ペテンを見抜いてやろうと自信満々で噂の占い師ソフィのもとへ乗り込む。しかし、彼女の透視能力を目の当たりにして価値観を揺さぶられ、さらには容姿も性格も完璧な彼女にほれ込んでしまう。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:アメリカ・イギリス合作
  • 公開年:2014年
  • 上映時間:98分
  • 監督:ウッディ・アレン
  • キャスト:アイリーン・アトキンス、コリン・ファース、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ハミッシュ・リンクレイター、サイモン・マクバーニー

予告編

それは恋のトリック

くっつくはずもない2人がくっついたり、惹かれ合いそうにもない人同士が恋に落ちたりと、現実世界でも恋という名のトリックは、そこら中で炸裂しています。

それは現実が持っている”こうだからこうだ”といった、論理的な説明を超えた何かが働いているとしか思えません。

ときめきや誰を思う気持ちは、科学やそういった類の合理的な判断を飛び越えて、人々の心に作用します。それはいつの時代も共通で、科学が出来上がる前の古代でも、この先の発展した未来の世界でも変わらないでしょう。

それはロマンチックという言葉で表現される現象ですが、そのロマンチックの中に潜むささやかな喜びや、爽やかな気持ちといった清々しい心地よさは我々にとって、なくてはならないものなのかも知れません。

月の光に照らされることが気持ちよく感じれられるように、人の優しさや美しさに魅せられるのは、きっと自然なことなのです。

突然舞い込む依頼

主人公のスタンリーは天才的なマジシャンです。彼が中国人に扮して披露する奇術ショーは世界中どこへ行っても大盛況で、マジック界でその名の知らない者はいません。

その日もドイツでショーを終えたばかりのスタンリーは楽屋引き上げていきます。

しかしその引き上げていく中スタンリーは共演者やスタッフに、あまり良いとは思えない言動を飛ばしています。そうです彼はとっても皮肉屋なのです。

そんな時に楽屋に幼馴染で同じくマジシャンのハワードが訪れてきます。なんでもある大富豪が入れあげている米国人占い師の真偽を見抜いて欲しいとのことです。

マジックの天才はマジックのタネやトリックを見抜くことなど朝飯前です。

スタンリーはその大富豪が住むのが、自分が生まれ育った南フランスであったことなども関係して、その依頼を引き受けます。

見破るはずが…

スタンリーは俺に見破れないトリックはないとばかりにその屋敷にやってきました。

話を聞くとどうやら屋敷の家族はみんなその占い師に入れあげている様子です。寄付という名の下に結構な大金を占い師に支払っているようです。

その占い師ソフィーは美しい容姿も兼ね備えているため、屋敷の一人息子はソフィーに恋して求婚までしている始末です。

最初はスタンリーはお得意の皮肉を炸裂して、そんな屋敷の人々を小馬鹿にしています。そしてソフィーのことも当然のことながらインチキ呼ばわりです。

しかし、その読心術や過去を見抜く透視術にすごさを目の当たりにしていくに連れ、その能力のすごさやソフィーの魅力に夢中になっている自分に気づきます。

独特の世界観

すごい能力の霊能者と、そのトリックを見破る天才マジシャンという設定ももちろん面白いですが、舞台が1920年の南フランスというのもとても素敵な空気をこの映画に注入しています。

そのレトロな雰囲気を増幅させるように、クラシカルなサウンドトラックが流れ、その時代の空気を再現する仕掛けが抜かりなく見受けられます。

衣装や小物類、主人公の乗ってるクラシックカーも素敵です。

その心地よくなんだか懐かしさも感じる風景とロマンチックで愉快なストーリーが噛み合うとき、そこには見たこともな恋のトリックが舞い降りてくるかのようです。

それは恋とユーモアのマジック

レトロな世界観とウディアレンのユーモアがうまく絡み合ったとても素敵な作品です。