人生は困難さえも楽しみながら勇敢に『フランシス・ハ』これが私の生きる道

出典:amazon

ニューヨークでモダンダンサーを目指すフランシスの紆余曲折ありながらも、大らかに生きていこうとするストーリーが描かれます。

モノクロでとてもお洒落なタッチで、時にユーモアたっぷりに時に切なく、なんだか少し元気がもらえる映画です。

あらすじ

モダンダンサーを目指し、ニューヨーク、ブルックリンで親友ソフィとルームシェアをしながら楽しい日々を送っていた27歳のフランシス。しかし恋人に振られ、ソフィとの同居生活も解消になってしまったことから、居場所を求めて町を転々とするはめになる。周りの友人たちは次々と身を固めていき、焦りも感じたフランシスは、自分の人生を見つめ直していく。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:アメリカ
  • 公開年:2012年
  • 上映時間:86分
  • 監督:ノア・バームバック
  • キャスト:グレタ・ガーウィグ、ミッキー・サムナー、アダム・ドライバー、マイケル・ゼゲン、パトリック・ヒューシンガー

この楽しい日々が続けばいいのに

主人公フランシスは親友のソフィーとブルックリンでルームシェアしています。大学時代の同級生で自他共に認める大の仲良しです。

無茶をしてはしゃぎ回ったり、時にはお互いを慰めあったりしながらとても楽しく暮らしています。それはまるで子供のようなはしゃぎっぷりで、彼女たちにしか分からない会話や仕草を交わしたりしながら、遊び回り潰れるまで飲み回ったりとやりたい放題です。

フランシスはバレー団の研究生、ソフィーは出版社勤務の会社員とそれぞれ歩んでいる道に違いはあれど、彼女たちにしか共有できない特別な時間の中を生きています。

しかし突然ソフィーが部屋を出ていくことになり、おまけに長年付き合った彼氏とも別れることになってしまいます。

転換期に立つということ

27歳にして立たされる転換期。

世間的にはもう大人の歳で大抵の人は順調な人生の階段を、それなりに登っているくらいの年齢なのかもしれません。

夢を見ている仲間たちも大体それくらいになる諦めて、方向転換を余儀なくされる歳です。

ソフィーもまさにそんな風に置いていかれている私感を感じながら、それでもバレーダンサーとしての夢を捨てきれず、ままならぬ生活に終止符を打つことができません。

そしてなんとか次のルームシェア先を見つけ転がり込みます。

人生後半のスタート地点で夢見る面々

新しいルームシェア先には少しだけ自分と同じ匂いがする、ままならぬ2人の仲間が住んでいます。

彫刻家志望のレブと脚本家を目指すベンジーという2人が住む、チャイナタウンにあるアパートに転がり込みます。

もういい歳なのに夢を見続けるもう若くもないアラサー達。周りは結婚や出産、出世など足場を固め始めているというのに…

しかしそこは順風満帆少女のフランシス、これも人生とばかりにやってくる悩みや困難を切り抜けて、気まま風を装って立ち向かいます。

待ちに待った休日に「今日は色々やるぞ、出かけるぞ!」と意気込んで結局夕方まで家に居てしまった…というような喪失感の中で、中途半端で不器用のゴリ押しのような振る舞いでどこまでも進んで生きます。

それを個性的と呼ぶのは周りだけで、本人は真っ直ぐに必死に生きているのです。

行き詰まりの中で

バレエ団の仕事もなんだかうまくいかなくなり、レブとベンジーと暮らしたアパートも出ることなり少し暗雲が立ち込めます。

思い立ったようサクラメントにある実家に帰ります。それはまさに”実家”といような家族からの手厚い歓迎を受け、郊外の風家の中でそこしだけ自分を見つめなおします。夢を追い求めて田舎から都会に出てきた人のありがちなパターンと言えるかもしれませんが、時には誰しも羽休めは必要です。

そしてニューヨークに戻るのですがやっぱりなんだかうまくいかず、友人が誘ってくれたホームパーティーでもなんだか空気が読めない発言ばかりしてしまいます。

そしてなぜだか金欠なのにパリに旅行に行くことに…

果たしてフランシスはそこで何を見てどんな未来を歩んで行くのでしょうか?

はりきって勇敢にいこう

モノクロームでお洒落な映像や表情豊かな登場人物の振る舞い、効果的に使われた音楽など白黒映画でありながら場面ごとに色鮮やかに、悩める乙女の人生が描かれます。

そこからは曖昧だけど揺るぎない威風堂々さを提示するような、不安定ながらも前向きな勇敢さを感じます。