ジム・ジャームッシュの映画はどの作品もとにかくカッコいい。
独自の世界を描き出す脚本と個性的な演出、場面の一つ一つが美しく撮影された映像など、どの作品も完璧に隙がなく仕上げられています。
そして映画はカルチャーだと言わんばかりの、衣装のファッションセンス、凝ったカメラワーク、こだわり抜かれたサウンドトラックなど、まさにその時代のクールな文化がすべて取り込まれたような洒落た世界観を、すべての作品において提示しているかのようです。
そんなジム・ジャームッシュの監督したカッコいい映画を、最新作『パターソン』を含めた全13作品集めました。
『パターソン』を観て過去の作品が観たくなった方も、ジム・ジャームッシュ監督作品のファンだけどまだ全部は観ていない方も、名前は聞いたことあるけどまだ観たことがないという方も、こちらの記事がジム・ジャームッシュの映画を一つでも多く観るきっかけになってくれれば幸いです。
目次
パーマネント・バケーション
はじまりはいつも僕らの手の中にある
夜のニューヨークの街を歩き回る、落ちこぼれの高校生パーカーを描いたストーリー。
社会に適応することができない高校生のアリーは、パンク気取り叙情的で鬱屈した日々を送っています。ガールフレンドにもあきれられて愛想をつかされ、夜の街を徘徊していたところ、ひとりのサックス吹きの路上ミュージシャンに出会います。それは旅立ちの時が迫っていることを意味する、決して偶然ではない出会いでした。
作家を目指して渡ったパリから帰国後、ニューヨーク大学大学院映画学科の卒業制作として制作した初の長編作品です。卒業制作での作品でありながら、複数の国で公開されるという偉業を果たしました。
ストレンジャー・ザン・パラダイス
その日暮らしが織りなす物語
独特のオフ・ビート感覚で綴られた独自の世界観で話題をさらった、モノクロの映像が際立った作品です。
ハンガリーからニューヨークにやってきたウィリーは、ギャンブラーとして日銭を稼ぎ暮らしをしていましたが、従妹エヴァがハンガリーから渡米してくることになり、しばらく預かるハメになってしまいます。最初は雑にあしらっていたウィリーでしたが、友人でギャンブル仲間のエディともども、だんだん彼女が気になり始めてしまいます。
「The New World」「One Year Later」「Paradise」の3つのパートからなる物語で、カンヌ映画祭カメラ・ドールを受賞しました。
ダウン・バイ・ロー
道のりはいつも悲しくも美しい
デビュー作以来の常連ジョン・ルーリーに、ジム・ジャームッシュがリスペクトするミュージシャンのトム・ウェイツ、イタリアの名優ロベルト・ベニーニら迎え制作されました。
3人の男が刑務所で同房になったのをきっかけに奇妙な友情が芽生えます。やがて脱獄を企てて実行に移します。その後の右葉曲折や、それぞれが歩み出すまでを独特のユーモアを交えて描き出してきます。
全編トム・ウェイツが担当した音楽も素晴らしく、撮影監督ロビー・ミューラーのモノクロ撮影による美しい映像も話題になった作品です。
ミステリー・トレイン
夜はいつも何かを残していく
3組の旅人がメンフィスの街のホテルで過ごす一夜が3話のオムニバスで描かれます。
ロックンロールが色濃く溢れる街メンフィス。そこは夜汽車が走り、エルヴィス・プレスリーの音楽が流れ、そんな中に一発の銃声が響きます。ニコレッタ・ブラスキやスティーブ・ブシェミなどの個性派俳優に加え、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスやジョー・ストラマーなどのミュージシャンも交えた、異色の顔合わせで描かれる奇妙な一夜の物語です。
工藤夕起と永瀬正敏が出演していることもあり、当時日本でも話題になった作品です。
ナイト・オン・ザ・プラネット
その惑星のタクシーは走り続ける
ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの5つの都市で同時刻に走るタクシーで起きる物語をオムニバスで描いた作品です。
タクシードライバーと乗客の様々な人間模様が描かれていきます。大物エージェントを乗せる若いドライバー、英語のできないドライバー、酔っ払いに振り回されるドライバーなど、それぞれの物語を豪華キャストが演じ切ります、
それはどことなくお洒落で、なぜかときめくような気持ちを思い起こさせてくれます。
デッドマン
壮絶に幻想的な西部劇
19世紀の西部を舞台にした西部劇でありながら、通常の西部劇とはまったく異なる雰囲気を放つ作品です。
西部のある街に主人公の会計士ウィリアム・ブレイクはやってくるのですが、いざこざに巻き込まれて胸に銃弾を受けてしまいます。そんな中追っ手から逃げる山の中でネイティブ・アメリカンのノーボディーと出会います。そこから思わぬ方向へと物語は向かいます。
モノクロの映像とニール・ヤングの即興演奏のサウンドトラックが壮絶な美しさを放つ作品です。
イヤー・オブ・ザ・ホース
いつまでも音楽が鳴り響くロードムービー
前作の「デッドマン」で音楽を担当したニール・ヤングと、バンドのクレイジー・ホースの1996年のワールドツアーに同行して撮影されたドキュメンタリーです。
8ミリカメラで撮影されたライブ映像や演奏シーンを中心に、舞台裏や普段の姿まで詰め込んだロードムービー。
ファンであるジム・ジャームッシュだからこそ撮ることができたであろう、そこら中に興奮がちりばめられた作品です。
ゴースト・ドッグ
その男のサムライソウルは本物
「武士道といふは、死ぬ ことと見つけたり」で有名な「葉隠」を座右の銘と掲げる、殺し屋ゴースト・ドッグの物語です。
ある日命の恩人であるマフィアの幹部ルーイから、ファミリーの一員フランクを殺すよう指令を受けます。ファミリーのボスが全財産を託すほど溺愛する一人娘のルイーズが、このフランクという男をを愛してしまったのです。
それを都合が悪いと感じている父であるボスは、父の仕業と悟られないようにフランクを消して欲しいと、完全犯罪をゴーストドックに託してきたのです。
退廃的なムードが支配する独特空気の中で描かれる、犯罪アクションです。
コーヒー&シガレッツ
苦味と煙に巻かれたひととき
様々な登場人物たちがコーヒーを飲みタバコの煙にまみれて織りなす、だらだらとしているようでどこか愛おしい会話を繰りひろげていく、11本のショート・ストーリーです
出演はロベルト・ベニーニ、イギー・ポップ、トム・ウェイツ、ビルマーレイなどのジム・ジャームッシュ過去の作品の出演者を中心に多彩な顔ぶれです。
ブロークン・フラワーズ
さえない男の過去と未来を探す物語
ビル・マーレイ主演で描くちょっぴり情けない、ちょい悪オヤジの物語。
裕福な主人公の中年男性は元ガールフレンドから、19歳になるあなたの息子がいるという手紙をもらい、隣人のお節介なすすめにより、可能性のある4人の女性を訪ねることになります。
ミステリアスに進む物語とさえない男、どこか愛くるしく憎めない物語です。
リミッツ・オブ・コントロール
まどろみはいつもその男の近くにある
孤独な男を主人公にした、どこか研ぎ澄まされた雰囲気が漂うロードムービーです。
「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ」という依頼主の謎の言葉だけを頼りに、殺し屋の男はスペインへと向かいます。マッチ箱に入った暗号を受け取りながら、依頼主の標的を探すのですが…。
撮影はなんとウォンカーウァイ作品でおなじみ、クリストファー・ドイルです。独特なカメラワークを惜しげもなく披露しています。
オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ
現代の吸血鬼が奏でる永遠のセレナーデ
吸血鬼を題材に描く美しいラブストーリーです。
吸血鬼でありながら、ミュージシャンとして活躍するアダムは、ある日、何世紀にもわたり愛し合ってきた恋人で、吸血鬼のイヴと久々の再会を果たす。しかしそれを嗅ぎつけた、イヴの妹で問題児のエヴァが2人のもとを訪れてくる。それをきっかけに3人の運命がゆっくりと変わっていきます。
ヴァンパイヤやドラキュラをテーマにした映画で、ここまで美しい映画がかつてあったでしょうか、さすがジム・ジャームッシュともいうべき作品です。
パターソン
何も起こらない日常の中にある美しさ
バス運転手パターソンの何気ない日常を描いた、人間味あふれる物語です。
ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソンの7日間の物語。朝起きて妻ローラにキスをしてからバス運転手として仕事をこなし、帰宅後には愛犬マービンと散歩へ行き、バーで1杯だけビールを飲みます。詩人でもあるパターソンの単調に見える生活の中にある、かけがえのないものが浮かび上がってきます。
「ミステリー・トレイン」以来、久しぶりにジャームッシュ監督作品に出演する永瀬正敏が、ラストでパターソンと出会う日本人詩人役という重要な役どころを演じています。
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“クールでお洒落でカッコいい”だけじゃない
ジム・ジャームッシュの映画はどの作品も隙がないほどにクールでお洒落でカッコいいです。
しかし、それは表面だけのカッコよさではなく、観る人の心に確実に何かを残します。我々が生活する上で、少しだけ心が軽やかになるような、しなやかな心地よさを感じさせてくれます。
毎回テーマやモチーフがまったく異なり、作品ごとに全然違うアプローチをしているにもかかわらず、根底には一貫した美学が見受けられるのも魅力のひとつかと思います。
ぜひこちらの記事を参考にジム・ジャームッシュの作品をご覧になって、その映像美と世界観を堪能してみてください。