無駄話がもたらすもの『コーヒ&シガレッツ』その苦味と煙にまみれて

Photo by:IMDb

コーヒーとタバコににまつわる11本のゆるくかっこいいショート・ストーリーです。

ジム・ジャームッシュが18年という長期間に渡って撮りためてきたショートフィルムをオムニバス形式にまとめて、2003年に公開したスローな雰囲気が全体的に漂いながらもどこかクールな作品です。

あらすじ

ジム・ジャームッシュ監督による、コーヒーを飲みながら、タバコを吸いながら、様々な登場人物たちがどうでも良さそうで、良くない、でもひとくせある会話を繰りひろげていく11本のショート・ストーリー。それぞれ、登場人物や撮影された時期・場所は異なっているものの、「ナイト・オン・ザ・プラネット」などで試みられた、各エピソードを連結するジャームッシュ独特の「仕掛け」が随所に見受けられる。出演はロベルト・ベニーニ、ケイト・ブランシェット、イギー・ポップ、トム・ウェイツなど。
引用:映画.com

キャスト・スタッフ紹介

  • 制作国:アメリカ
  • 公開年:2003年
  • 上映時間:97分
  • 監督:ジム・ジャームッシュ
  • キャスト:ロベルト・ベニーニ、スティーブ・ブシェーミ、イギー・ポップ、トム・ウェイツ、ジョー・リガーノ

人生には一服が必要だ

コーヒーやタバコは決して体に良いものではありませんが、時に人はそれを求めます。それらがもたらすひと時は、平穏と安らぎをもたらします。

それは無駄な時間とみなすこともできるかもしれませんが、忙しく動く人間という生物にとっては、それは必然でありなくてはならないひと時だったりします。

カフェインやニコチンを摂取して、時には無駄話をしながら、時間本来が持つ魅力であるゆっくりとした時の流れを感じるのです。

それは人生には無駄というものも、決して不必要なものではないということを教えてくれている気がします。

無駄の持つ3つの効能

無駄という世間的にはネガティブに受け取られがちな概念が、もし人生にとってなくてはならないものであったとするならば、それなりの効能があるということになります。

では無駄の持つ効能とはどのようなものなのか、少し考察してみたいと思います。大きく分けて以下の3つ浮かび上がってきました。

1. 必然から解き放たれた自由

必然はいつだって、重要な役割を果たします。

それはこれがここにあるべき理由を提示するからです。物事の多くはほぼ必然によって成り立っています。

しかし、この必然の持つこうあるべきだという概念が、時に人々を苦しめることになります。それは、こうしなければならないというルールを知らず知らずのうちに作り出し、それからはみ出そうものなら、不適合のレッテルを貼られてしまいます。

そこで、ここで無駄という概念の存在が重要な役割を果たします。

無駄はそれらの必然においては、不必要とみなされたものということになります。つまり無駄は必然という、こうしなければいけない、という概念から切り離された事柄であると言えます。

ということは、無駄は必然から解き放たれた自由という考えができます。当然のことながら自由は人々に平穏や安息を与えます。

つまり時に無駄は人々に、安らぎを与える役割を果たすということになります。

2. 過程という束縛からの解放

すべての物事には過程がつきまといます。

こうして、ああして、こうするといった一連の出来事は、順序という一連の過程をたどりながら、その出来事の最終着地点へと向かいます。

人生の始まりから終わりにも過程という順序が伴います。それは恋愛や仕事といった我々が必ず避けては通れない出来事においても同様です。

そんな、すべてが紐付いている過程という概念はの中には、いつしかこれはこうあるべきだ、という一種の束縛のようなものが生まれてしまいます。

それは物事を確実に遂行する上では、なくてはならないものかもしれませんが、時にこの完全に順序化された過程という流れは、人々を疲れさせ苦しませる原因となります。

そこで、この必然的な過程からふるい落とされるものが、無駄というものになると言えます。

3. それらによってできる空白や余白

そして、それらの必然が持つ不自由や、過程の持つ束縛から無駄が解き放たれる時、そこには予期せぬ空白や余白が生まれることになります。

それは必要なものから不必要なものを取り除いたが故にできる、ぽっかり空いた空間です。

つまりそれらは強い緊張感から解放された時に生じる、反動であるとも言えるかもしれません。

それらの反動はきつく縛られたからこそ、解放された瞬間に自由に羽ばたくことができ、それは特にいらないものであっても、そこに何らかの平穏と安息をもたらすのではないでしょうか。

つまり、必要要素から削ぎ落とされた、不必要という要素は、自由を手に入れることにより、空白や余白という人々に何らかの安らぎを与える、人生にとってなくてはならない必然になりうるということです。

不必要とされたものがいつしか必要なものになる、それが無駄の持つ必然的で重要な役割です。

コーヒーとタバコが人生に与えること

この映画の中で登場人物たちは、椅子に座りテーブルに向かい、コーヒを流し込みタバコの煙をくゆらせながら、人生にはまったく必要ないとも思える、無駄話をし続けます。

それは、これはこうであるといった何か1つのトピックを持たない、とりとめのない会話です。

特に伝えたいことや、訴えたいことがないもの同士が集った時に現れる、「最近どう?」「そう言えば前言ってたあれどうなった?」「この後どうする?」といった具合の中身のあまりない、ある意味では上っ面の会話です。

しかし、その無駄話は「こうしなければいけない」や「こうあるべきだ」といったある種、人々に疲れをもたらす作業を強いることがないでのです。

すなわち、この映画の登場人物たちは、コーヒーとタバコを通して無駄を味わい、そこから癒しや安息を感じていると言えます。

“ホッとするひととき”という安らぎの中にある、何とも言えない平穏を、コーヒー、タバコ、無駄話、といった要素から確実に取り入れているのです。

その苦味と煙たさがもたらすこと

この映画の中で何杯も消費されるコーヒーと、何本も吸い尽くされるタバコは、その苦味と煙たさを画面の外側の、我々の目の前まで漂わせるかのように、強烈にその存在感をあらわにします。

それは我々がコーヒーやタバコや無駄話といった、必ずしも合理的でないものがもたらす安らぎの味を、少なからず知ってしまっているからなのでしょう。

それは職業やそれぞれが置かれた立場さえも解放し、本当に自由なひと時を与えてくれているかのようです。

少し疲れたと感じる時にはコーヒーでも飲みながら、この映画の白黒の映像の中で繰り広げられる、無駄話がもたらす安らぎをぜひ一度味わってみてください。

『コーヒ&シガレッツ』を観るなら、Amazonプライムビデオの無料お試し期間を使おう!

『コーヒ&シガレッツ』が観たくなった方にうれしいお知らせ。

今ならAmazonプライムビデオで『コーヒ&シガレッツ』を鑑賞することができます。

30日間の無料お試し期間があるので、こちらを活用すればAmazonプライムビデオでたくさんの動画が30日間無料で楽しめます。

アプリ版ではもちろんダウンロード機能もあるので、スマホやタブレッドに取り込んで通信速度を気にすることなく外出先でも映画を楽しめます。

しかも、Amazonプライムビデオの他にも、PrimeMusicで音楽100万曲以上聴き放題や、Amazonでの送料が無料になったり、他にもプライム会員だけの盛りだくさんサービスを使うことができます!

スマホアプリも使いやすいのでオススメです。

動画見放題<Amazonプライムビデオ>今なら無料トライアル実施中!

無駄話は無駄じゃない

無駄話や世間話、決して体に良くないもの、それらがもたらす無駄はいつのまにか無駄じゃないものとして、人生の中に溶け込んでいきます。

それはこの白黒で綴られた11個のエピソードの中の、いつまでも続く会話のように我々の生活に馴染んでいくかのようです。

コーヒーが飲みたくなる映画

タバコに関しては体に悪いと言い尽くされていているので、現在吸っていないのであれば、吸わない方が良い気がします。

しかし、コーヒーや紅茶といった類のカフェインを、たまに摂るぐらいの一服は誰しも必要な気がします。

この映画『コーヒ&シガレッツ』のモノクロームの映像の中では、コーヒーカップの中のコーヒーの黒色がより一層強調されて映ります。

まさに「コーヒーが飲みたくなる映画」であり、「コーヒーを飲みながら観たい映画」です。

有名バリスタが厳選した4種のお試しスペシャルティコーヒー!送料無料